副科ピアノ試験

今年から芸大で非常勤をしている、副科ピアノという担当授業の試験が、2/6にありました。

副科ピアノというのは、芸大に入った学生がピアノの授業を取らないとならないというもので、しかしその生徒たちというのは、ヴァイオリン科とかクラリネットとか、指揮科とか声楽科とか、つまりピアノ科ではない子たちです。

学校のカリキュラム上、必修でやらなければならない子もいれば、そうでない子もいますが、ピアノという楽器はもともと音楽に入門するきっかけとなりやすいため、様々なレベルの子がいて、それが指導する側としては面白いものです。

試験もソナチネ程度から専科の子たちが弾くような難曲を持ってくるので、こちらも採点の仕方についてはいろいろ悩みますが、やはり、音楽的に弾いている子たちのことを良い評価をつけられるようにしたいなあという気持ちです。

私のクラスも、弾ける子もそうでない子もいましたが、感心したことは、ピアノの音の出し方について、デリケートな感覚を持っている子たちが多いなあということでした。それについては、ピアノを専門にやっている子たちの、まるでデリカシーのないような弾きっぷりに対して、音感がより優れているのだろうなと感じています。

1年間担当した皆さんが、どんどん自分の道をすすんでいってくれることを願っています。もちろん、ピアノも傍らにあるのであれば、それは嬉しいですが。

熊本アウトリーチ

1/13〜18まで熊本は菊陽町で、チェリストの加藤文枝さんと共に、学校でのアウトリーチとリサイタルを行っていました。

アウトリーチってなに?と思われるかもしれませんが、音楽ホール等でする音楽のワークショップを、学校などホール外(=out)で行う、出前授業と言えるでしょう。

加藤さんは、ソリストとしてリサイタルをする一方で、日本全国でこのような活動を継続的に行っている、ユニークな音楽家です。

学生時代に随分とよく共演させてもらって、とても多くの刺激をもらっていましたが、今回約5,6年ぶりくらいに一緒に演奏しました。

その日程は8コマのアウトリーチを4日でこなし、最終日はリサイタルをするというなかなかハードなスケジュール。

最初の4コマは、菊陽西小学校の6年生4クラス。全校児童が1000人に届こうとするマンモス校です。

子どもたちの演奏に対する反応はとても様々で、元気のいいクラスもあれば思慮深いクラスもあって、クラス全体の雰囲気というものがあるのだなと強く思いました。でも、子どもたちはとても素直に、真剣に耳を傾けてくれました。

次に向かったのは菊陽南小学校。こちらは、4〜6年生に聴いてもらいましたが、その全員で40人くらいの、こじんまりとした学校です。4年生のダイレクトなはきはきとした物言いに対し、6年生はやっぱりすこし周りを伺いながら発言するといった感じがします。

菊陽北小学校の子たちは、現在音楽室が改修中だそうで、リサイタル会場でもある図書館ホールを使ってのインリーチ。よく響く会場の響きで、イマジネーションも膨らんだかな?

そのほか、地域の町民センターなどで、街の皆様の前でのミニコンサートなどもあり、観光などはする暇もなく、最終日のリサイタル。

プログラムのメインは、ショパンのチェロ・ソナタ。ショパン晩年に作られた、孤高の輝きを持った大作です。

加藤さんのコメントでは、シューマンの言った「花畑の下に隠された大砲」というところからインスピレーションを受けた、「血と思ったらバラのように」鮮烈な美を感じながら弾きたい、という言葉が印象に残っています。僕も最近ショパンのピアノ作品に取り組んでないけれど、また近づいてみようかな。そういえば、今年はショパンコンクールの年なんですね。

アウトリーチの時に子どもたちの見せてくれた笑顔、そしてコンサートやリサイタルでも、街の人々のあたたかい視線にとてもパワーをもらう日々でした。この地域は熊本地震でも大きな被害を受けた地域ですが、喪失感から立ち直る強さや、前向きさを持った人たちでした。

自分にとっては初の九州への旅でしたが、今回誘ってくれた加藤さん、アウトリーチのコーディネート(これら写真なども)をしてくださった図書館ホールの職員の皆さん、そしてあたたかく演奏者を迎えてくれた町民の方々、本当にありがとうございました。

1年

3月ももうおしまい。年度末ですね。

去年の3月から東京で再スタートをして、1年が経ちました。海外生活で長いブランクのあった身にとって、スタート当初は、不安でいっぱいだったことをよく覚えています。とにかくゼロからの出発だったので、ピアノを弾いて評価される立場というよりも、なんとか生きるためにピアノを弾くという状況に身を置かなければならない時もありました。

そんな中で、僅かなチャンスを通して、少しずつ自分の音楽を聴いてもらう機会が増えてきました。昨年末の2つのリサイタルなどは、まったく新しいつながりを通して、そこで出会った方たちのお陰で行えたことで、偶然から生まれる幸運もあるのだということを実感しました。

数々の新しい出会いに導いてもらった1年でしたが、やはり旧くからの知り合いで、私のことを覚えてくれている人たちにも改めて感謝をしなければなりません。彼らとのちょっとした再会が、自分の活動に大きなエネルギーをもたらしてくれ、これから先の方向付けを与えてくれるものとなっています。

この1年は短いようで長さを感じた1年だったと思います。それは、きっと自分の中で波乱あり、ドラマありの年だったからなのでしょう。でも、それは人生の中では豊かな1ページを刻むことになっていくのかもしれない。そう考えると、次の1年もそのようなものになって欲しいと思わずにはいられません。山あり谷ありの生活であっても、常に自分にとっての寄りどころをなくさずに、音楽の道を歩める1年になるようにしたいと思います。

それでは、この1年の写真をパラパラと。

新年度もがんばります!

 

はじめまして

ピアニストの入川舜です。パリで7年間活動をした後、また故郷の日本で新たな一歩を踏み出しました。これから、自分の活動を様々な形で発信していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします!